彼氏はいるにはいる。けども濡れない感じない声も出ない。だけれど彼女は信じている。
『すっごく、気持ちいいの! 意識が飛びそうになって、ひゃーって落っこちていくような、まるでジェットコースターよ!』――。
十五歳そこそこの『エイプリル
』の語ったエクスタシーがいつかは自分に訪れるのではないかと。
だがあの晩は酷かった。ワインを飲まされ、布団にもぶっかけられ、酒の弱い彼女にはたまったものではなかった。翌朝のコンディションは最悪。いつもより一時間以上早い電車に乗り、どうにかして車内で吐き気をこらえつつやり過ごしたつもりが。
あろうことか目的地外の駅でひとの流れに飲み込まれ、ホームにて派手にすっ転ぶ。――やれやれ千代田線に駆け込むひとびとに非はない。不意にこみあげる涙をこらえつつ、どうにかして立ち上がろうとすれば――
――「大丈夫?」
腹の底に響く男の甘ったるい低音ヴォイス。差し伸べられる白い手のひら。見ればそこには――
超絶的美形男子。別名・色魔獣(エロティカルモンスター)がそこには居た。
■女性・男性に対する乱暴、暴力、犯罪行為を含みます。
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■性描写を含む話には『★』マークを、残酷・乱暴・暴力描写には『※』マークをつけています。
■改訂前の【第一形態】とほぼ展開が同じですが、特に冒頭は大幅に加筆修正をしており、向こうには無い後日譚もあります。
■約束の期日:5年→3年後に修正しました。2018.05.04完了。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-06 06:00:00
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会話率:26%