享保5年1月1日(1720年2月8日)丑の刻。信濃高遠城下花畑地籍の《絵島囲み屋敷》に賊が押し入り、館を警護する《花畑衆》の星野徹之助が惨殺された。星野家の後継のため、妹の小梢は男装して涼馬を名乗り、縁戚の家老・縫殿助の後押しで仕官する。
亡き兄と同じ《花畑衆》を拝命した涼馬は、役者・生島新五郎との不義密通容疑で永遠流となった元大奥御年寄・絵島に接する内に、理不尽な処罰に疑念を抱く。
一方、内藤家お抱え絵師で男色一辺倒の清麿は、美形の涼馬に恋心を抱く。涼馬も清麿に好意を寄せたが、恋が進展すれば、女である事実の露見は必定。追い詰められた涼馬は家老に相談のうえ、恋のほとぼりが冷めるまで、《絵島生島事件》の真相解明も兼ねて、江戸の内藤屋敷に滞留する仕儀となる。
ところが、涼馬を追って清麿も江戸に出て来てしまう。困った涼馬は縫殿助の養子で江戸家老の七三郎に相談。七三郎は清麿に、涼馬が実は女である事実を告げ、「男女の媾合が可能ならば結婚させる」と約束する。女を毛嫌いしていた清麿は、悶絶しつつも涼馬の女体に挑み、何とか男女の営みが成立する。
晴れて夫婦になった二人は、尾張徳川家の隠密《御土居下同心》の助けのもと、元大奥の御中臈、御仲居、御切手、御祐筆、出入りの商人、「正徳の治」で権勢を振るった新井白石や間部詮房、三宅島や御蔵島に流された生島新五郎、元御殿医の奥山交竹院らを訪ね歩き、《絵島生島事件》の真相を探る。
多彩な証言を組み合わせた二人は、絵島の旧主・月光院(六代将軍家宣の側室・七代家継の生母)が、己の乱倫を知悉する絵島を葬るために仕組んだ筋書きであり、さらに天英院(家宣正室・煕子)も一枚加わっていた事実に突き当たる。
月光院が放った刺客・如是坊を討ち、兄の仇討を果たした二人は高遠へ帰郷して絵島に報告。男女を入れ替えて星野家に入り、涼馬こと小梢が子を産む。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-12 08:46:20
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