「あの声……まさか……彼女だったの?」
愛し合った夜の、壁の向こうから聞こえる女の喘ぎ声——
それが、夫を昂らせた原因だったと知ったとき、
妻の中で何かが崩れ始める。
無言の嫉妬。夢の中の裏切り。
女は全裸のまま、夫の下半身に口を伸ば
す。
壁の向こうの“彼女”に負けたくないから。
自分の声で、唾液で、愛で、すべてを奪い返すために——
「ねえ……わたしの音だけ、聞いて……♡」
前作『隣の声が止まない夜に』と同じ夜、同じ瞬間に繰り広げられた、もうひとつの戦い。
音と女のプライドが交差する、静かなる激情の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 20:00:00
5789文字
会話率:18%