「今時こんな悪役は流行りません、書き換えてください」
クライアントから言い放たれたその言葉に、脚本家の「ヨシカワイチギ」は怒髪天を衝いた。
「物語は悪役で全てが決まる!魅力的な悪役こそが、物語を面白くするんだ!」
台本を持ち帰
りヤケ酒に耽っていたヨシカワイチギは、目覚めると自身の書いた脚本の世界で、悪役令息である「マルセル・ギネス」になっていた。
ヨシカワイチギは望み通りの悪役を演ずるべく、皇太子で、親友でもある「ゲルマン」への暗殺計画を進めた。
〇
「マルセル・ギネスを死刑に処す」
彼の望み通り、親友からの断罪イベントを達成したヨシカワイチギは歓喜に震える。これで物語は自分の望み通りの結末を迎えた、と。しかし、死の瞬間を独房で待つヨシカワイチギの元に現れたのは、脚本上そこに現れる筈のない親友ゲルマンであった――!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-11 22:57:12
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会話率:39%