おれは“奥さん”の腕を掴んで立たせると、痛くないように気を遣いながらその腕を後ろにひねり、その背中を引き寄せた。
「いや……」奥さんは言った「お願い、やめて」
「おい! 妻に何をするんだ!!」ダンナさんが叫ぶ。
「あんたが考えているその
とおりのことだよ!」
おれは出来るだけドスの効いた声を出したつもりだが、声が裏返っていた。
“奥さん”の首筋を自分の鼻でかき分けて、髪の匂いを嗅いだ。
風呂上がりなのか、シャンプーのいい香りがした。たぶん、桃の香りだろう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-24 22:14:06
34815文字
会話率:34%