【完結済】休日の朝っぱらから枕元がやたら五月蠅いと思ったら、手に取ったスマホから聞こえてきたのは旦那との痴話喧嘩を愚痴りたいだけの、姉からのやけっぱちな怒声だった。耳を離してもキンキン響くその声に、深水は未だ寝惚け混じりながらも、すっかり辟
易してしまう。自分はそんな姉のトンチンカンな妄想混じりの電話より何より、この寝息も温かな変身下手な仔タヌキの方が大事なのだ。そう、以前道路の隅で弱っていた黒く小さな仔タヌキ。その身を拾い、数日間は世話をしていたが、いつしかその姿は自然と消えていた。だがそれから暫くのち、雨のそぼ降る深夜に深水の家を訪ねてきた不可思議な少年…多希は、『おんがえし、なのです』とたどたどしくそう言って深水を見上げ、ふんわりと笑って見せた―――
【ご注意】シリーズとしては短いのですが、ほのぼのとした話も上げさせていただいてみたいなと、一ページで一話読み切りタイプの話を失礼します。 一話目はプロローグ的な内容なので上滑りしてますが、二話からは割とほっこり昭和のテイストだと思います。申し訳ありませんが、R18は保険で、エロなしのほのぼのです。
*この作品は、他サイトにも同名義で掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-06 14:36:11
12984文字
会話率:30%