祝言は三日後。
優里(ゆうり)は美しい満月を見上げながら溜息をついた。相手は幼い頃に会った犬神だ。
初めて会った日から十五年の間、犬神は度々優里のもとを訪れては顔だけを見てすぐに帰っていった。
いつも気怠げで、面倒だと言わんばかりの態度
で。
優里は犬神への恋心に蓋をして、別れを告げることにした。
もともとこの縁は犬神のただの好奇心から始まったものなのだから。
愛する気持ちなど無いのだから。
★★
*R18は最後の方です。ちょっと長めの短編です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-26 11:15:10
23547文字
会話率:61%