オーヴェル家の長女リナエラ・オーヴェルは、社交界でも有名な悪女だ。彼女は冷酷無情で慈悲の心を持たず、鞭で使用人を罰するような乱暴な女なので、常に悪い噂が絶えなかった。
しかしそんな悪女にも婚約者がいた。
婚約者の名はザッカレイ・ロートリシュ
。名門ロートリシュ家の嫡男だ。王国騎士団に所属しているザッカレイは、数多の貴族が争奪戦を繰り広げるほど人気があったが、彼が婚約を申し込んだのはリナエラだった。
誰が見ても不釣り合いな二人の婚約に、周囲は騒然となった。けれども、この婚約には理由があったのだ。
リナエラとザッカレイの婚約は、罪への償いから結ばれたものだった。
*本作品には、以下の表現が含まれています*
・作品の冒頭で、やや暴力的なシーンがあります
・事故による身体の不自由さを表現しているシーンがあります折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-15 19:32:07
22181文字
会話率:49%