死んだ母以外の織田一家が意図せず久しぶりに揃った。
織田家最年長、父である角行はこの際だしと衝撃的な事実を明らかにする。
「実は織田家長女の玉緒は私の子供ではありません。死んだ母さんの子供でもありません。だから君たち兄弟とは一切血のつな
がりはありません」
織田家三男の歩は幼少から玉緒に密かに思いを寄せていた。
年を重ねるごとに魅力的になっていく彼女に背徳感を覚えながらも一人の女性として見ていた。
彼と彼女は弟と姉であり、将棋の弟子と師匠でもある。
父親からの告白により、いつか真剣勝負に勝ち気持ちを伝える決心がついたその矢先。
玉緒は不埒な男どもの毒牙にかかる。
登場人物紹介
織田 歩
三男。玉緒に姉とわかっていながらも恋心を抱いている。好きな戦法は藤井システム。
織田 玉緒
織田家の長女にして紅一点。女流プロ棋士であり賞金全てを家族の生活費に振り当てている。
歩の思いには気づいていない。好きな戦法は穴熊囲い。
織田 角行
父。定職に就かず、酒に飲んだくれている。
織田 金太郎
長男。近所の私立大学に通う。別居で暮らしている。大学の入学金、引っ越し代、月々のアパート代は玉緒に払ってもらっている。女遊びが趣味。
織田 銀二
次男。三男の歩よりも身長が低い。学校に行かない引き籠り。女に対して鬱屈としたコンプレックスを抱いている。
※ネタバレ
タイトルに偽りはありませんが最終的には三男が大勝利します。
最終的に長男は元カノに刺され、次男は飛び降り、父はアル中で凍死。
身内の死をあっさり乗り越えてハッピーエンドを迎えますので悪しからず。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-03 16:50:03
60668文字
会話率:44%
私が知っている彼は、名前とは正反対の人だった。
長めの髪はボサボサで無精髭を生やし、スウェットの上下を着て仕事も碌に行かないような、酒好きで私にお金の無心をするようなクズで不埒でだらしない格好の紐男。不思議とタバコは吸わなかったけど、常にパ
ソコンとタブレットみたなのを弄っていて、ゲームかなにかをしていた。
でも、私が出張から帰ってきたら、彼は消えていた――彼が持ってきた荷物の全てを持って。
そして一年半後、買い物に出た先で彼を見かけた。
その視線の先にいる彼は短く切りそろえた髪をジェルか何かでなでつけ、高級そうなスーツとネクタイを着こなし、眼鏡をかけた素敵な男性だった。そんな優しそうな、幸せそうな笑顔すら私に向けられたことはない。
胸が締め付けられて、つらかった。だから私は――。
どうしようもない男とそんな男が好きな彼女の話。
なかむラ様主催、『不埒な人企画』参加作品。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-11-23 00:00:00
28112文字
会話率:53%