宗佐(そうすけ)は大学を卒業した後、サラリーマンとして働く、20代後半の凡庸な男である。
学歴は悪くないものの、コミュニケーション能力に欠けていて、仕事もできず、恋人もいなかった。そして、当然に童貞であった。
ある日、同じような境遇に
あった友人である大翔(ひろと)の人生が好転したのは「童貞矯正マシーン」なるものによると聞き、彼は興味を抱く。フリーターであった大翔は正社員としてステップアップを重ね、彼女を得たのだった。それは、脳の高次機能を司る前頭葉を刺激し、発達させ、現代社会では重要なコミュニケーション能力を高めるものであるという。
しかし、大翔の勧めと自身の興味にもかかわらず、彼は未知への恐怖から「童貞矯正マシーン」を使用することを拒み続けていた。
大翔は美人の恋人を見せ、宗佐を勧誘するが、宗佐は、自身の恐怖を大翔に反射させ、大翔の悪意を感じて逃げた。
だが、一つの大きな失態の末、彼は「童貞矯正マシーン」の使用を決意した。
VRシミュレータであるマシーンの中では、遠未来を想定した、女性が社会の中心となった世界が再現されていた。資源を節約するため、小さなコロニーの中で人々は生活し、他のコロニー(異国)との通行は大幅に制限されていた。
彼は遠方から遺伝子の多様性を確保するためやってきた「異国人」の男として振る舞う。その設定の中、訓練を受けてコミュニケーション能力を鍛えることとなる。そして、高いコミュニケーション能力を必要とするセックスもその訓練に含まれていた。
出会ったのは、コロニーの受け入れ役公務員であるハル、アオバの二人と、一緒にセックス講習を行う大学生のセター、ルェイの二人。彼は一体何を得て、何を失うのだろうか?
マシーンの使用後、周囲の人は宗佐が良い方向に変わったと感じたが、マシーンには秘密があった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-07-30 18:00:00
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