舞台は魔法文明が浸透した異世界である。
魔道具と魔晶石の普及によって王侯貴族と民衆の距離は近づいたけれど、未だ古い習慣を守る貴族たちが権勢を誇る社会だ。
主人公のノラは、グロッセッタ王国にクロンメリン伯爵家の三男坊として生を受けた。
ク
ロンメリン伯爵家は、世の風潮に逆行するような純血主義のお貴族さまである。
なぜならクロンメリン伯爵家は、先祖が精霊から授かったという魔力知識と、魔力の強さを子孫に伝え残すため、営々と近親婚を繰り返してきた特殊な家系だったからだ。
その過程で血族の魔力量は増加したのだが、繁殖力が低下してしまった。
さらに男女の誕生比率にまで偏りが生じて、女児が産まれなくなった。
当代の伯爵であるヴィルヘルムは、愛妻アデリナとの間に年齢の離れた4人の息子たちを儲けたが、とうとう女児を授かることは叶わなかった。
というのも、終わりの見えない子作りの日々に辟易としたアデリナが家出をしてしまったからだ。
(実は長男コルネリウスに相談を受けたアデリナの失踪劇…)
ヴィルヘルムは家督を長男のコルネリウスに継がせると、自身も愛するアデリナを探す旅に出てしまった。
クロンメリン伯爵家の後事を託されたコルネリウスは、かねてよりノラを除く兄弟間で取り決めていた計画を実行に移す。
なんとそれは、三男坊のノラをクロンメリン伯爵家に代々伝わる精霊魔法の秘術によって女性化し、嫁として兄弟間で共有すると言うものだった。
長男のコルネリウスは、弟のノラを心が病むほど溺愛していたので、ハッピーな嫁になって貰うための再教育を開始することにした。
―――あらゆる手段を用いて、弟のノラには女性としての喜びを見いだせるオンナに育ってもらおう。
無謀にもイケメンでゴージャスな兄弟たちの計画はスタートし、いまノラの歪すぎる嫁入り修行が始まった。
はたしてノラは、兄弟たちの重すぎる愛を受け入れて、幸せなお嫁さんになれるのか……!?
クロンメリン伯爵家は、ちゃんと世継ぎを得ることができるのだろうか……!?
「無理と思うよ…」―――(ノラ・クロンメリン談)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-26 12:00:00
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