高校二年の夏休み。
とある地方に住む少年、海里(かいり)は冷凍食品加工工場でアルバイトに励んでいた。
二十四時間休みなしの現場はそれなりに忙しくて、数百人が働くその中で一人がふと消えても誰も気づきはしない。
「高校生、またもたなくて帰
ったのか?」
そんな程度の認識だ。
その日はマイナス10度以下の冷凍庫内作業だった。
一人で任された食品庫はあまりにも天井が高くて、いきなり崩壊するなんて‥‥‥。
大量の冷凍食品のケースの下敷きになって意識を失いかけた時、海里はある少年に助けられる。
甘い香りに暖かい人肌、そして、真紅の何か。
覚えているのはそれとー‥‥‥人には言えない、男子特有のあれが暖かかったこと。
そして、助け出されたあと。
海里はその少年を探すが彼は存在しない、少年だった――。
アルファポリス、でも掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-29 07:00:00
16217文字
会話率:18%