西暦2040年代のある年、大型輸送船アトラス6号が地球の軌道上にいた。途中、通信障害が発生し、船外作業員である日本人のケイゴ・ナツイが、船体の後方にある通信アンテナの現状を確認しに宇宙空間に出てゆく。すると、パネルの表面にブルーのメタリッ
クにキラキラと発光する、霜柱のような物質が散らばって貼り付いていた。
地球に帰還すると、ケイゴの帰船時に実験室にいたマリア・マルダー生物博士とブッカー・ジェファーソン物理博士とジェフ・ハント医師を除いた9名のクルー全員に、微熱と血中の血漿のわずかな増加が看て取れる。それでもすぐに微熱は治まって、クルーは5日間の経過観察を経て、休暇を過ごすために地元へと向かう。
数日後、保存していたクルーたちの血中にウイルス・レベルの謎の生命の発現が発見されて、マリアとブッカーとジェフが、フロリダ州のオーランドにあるクリニックへと招集される。
クルーの血中に見付かったウイルスと思わしき生命は、青く蛍光に発色してみえる。早速、AIの「MEG」が謎の生命の遺伝子解析を始める。博士たちは研究棟のクリーンルームで、生命がどのような生体であるのかを調査するため、それを宇宙空間と同じ真空の環境と、体液と同じ養分を持つ溶液中に置き、実験用のアカゲザルと3匹のハツカネズミに感染させて観察することにした。
地元に戻ったケイゴたちクルーは、魅惑的なフェロモンを放つようになる。決まった相手がいない者たちは、次から次へと相手を変えてセックスし、2次感染者や3次感染者を増やしている。夜ごと、彼らは午前3時になると、魂が抜けたように月光を身に浴びて、夜空に煌々と輝くその月を見上げる。そして乳首と乳輪が白っぽくなって、やがては両の乳首が乳輪ごとその胸から剥がれ落ちる。また、妊娠の初期であったクルーの妻が、流産する。
ジェフが1匹のハツカネズミを解剖すると、生命は肺からの静脈を通って心臓の左心房に大量に増殖している。そして体内での振る舞いが、地球上に存在する寄生性の原生生物であるトキソプラズマ(原虫)に似ていることを、博士たちは知る。生命の体内での増殖に伴って、やがては「MEG」は、人の遺伝子と生命の遺伝子の2つの異なる遺伝子で構成された界面で起きている『エッジ・エフェクト』を見つけ出す。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-23 07:00:00
218558文字
会話率:13%
本社でライン職を外れ、子会社に行った有能なサラリーマンが子会社を様々な手段で立て直す。ビジネス小説。
最終更新:2019-05-14 15:00:00
37279文字
会話率:2%