自分は紙と向かいあって悩んでいた。
あらすじっていったい何を書いたらいいんだろう。あー、わからん。そうだなこんな時は誰かに相談して。
「兄様、頭抱えて何か悩みごとですか」
小豆……うーんでも幼い妹分に相談してもな。
「くんくん? なに
か失礼なこと考えてる匂いですです」
「あらあら、なにか困りごとかしら?」
「あっ、雛代さんです。えーと、兄様が小豆と結婚したいと悩んでいるそうですよー!」
はははっ……小豆の冗談はいつも突飛だなぁ。まだおままごとやってるつもりなんかな、でもそんな冗談を真に受ける人なんて。
「ウフフフッ、弥彦君タラ。そんなふうにいけないことを考えちゃダメでしょう。しっかり調教し直さないといけないかしら」
うおっ!! 縄がくるくると蛇みたく身体に。抜け出せない、やばい、誰か助けて。
「なにしてるのよ」
「あっ、ムラサキさん。えーとあらすじを考えたら縛られてしまいまして」
「どうしたら、そんなことになるわけ」
自分でもよくわからないんだよなぁ。
「てか、あらすじなんてぱぱっとおわしなさいよ、簡単でしょ。昔々あるところに弥彦君というエロがきがいて、おっぱいが好きな男の子でした。そして女の子たちに酷い仕打ちをしました、終わり。忍びの本分は騙し合いっていうでしょ。別にてきとうに書いたってバレないって。どうよ」
得意気に言われてもなぁ。まるで自分が悪役みたく思われるきがするんだけど。でもそれがムラサキさんなんだよなー。
「仕方ないわね貸してみなさい。主人公のあたしが書いてあげるわ」
「え……、主人公って自分ですよね」
「あんたが主人公って、どこからそんな発想が出てくるのよ。主人公はあたしでしょ」
「ヒロインは小豆ですので、小豆としましては兄様が主人公がいいです」
「私は弥彦君が主人公じゃなくても、いつまでも側にいますからね」
雛代さんの気持ちは嬉しいんだけど、黒鞭をうっとり眺めて言われると困るよね。そういえば師匠の姿が見えないけど、どっかで修行でもしてるのかな。
「いつも見てる……よ」
声がした方には天井の板が外され浮かぶ二つの眼玉が。伸ばしてくる手に――。
「トマト……」
「えーと、いただきます」
「まったく、どうして時雨はそんな所ばかりにいるのよ。つーか、あんたは弥彦のことどう思ってるのよ」
「マザコン?」
えっ! ちょっと待って文字数が折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-03-01 15:00:00
60524文字
会話率:45%