和菓子屋『漉(ろく)』のもらわれ子である勢野朔(せやさく)は十五にして養い親である祖父を亡くし、斎場の隅で途方に暮れていた。行くあてのない朔の前に現れたのは闊達な雰囲気ながらも気品ある精悍な面立ちの少年――奉膳広樹(ぶんぜひろき)だった。彼
は『奉膳の若様』と呼ばれ、茶の湯の文化が残る山瀬市が六万石の小藩だった頃、殿様としてこの地を治めた家の直系の末裔だ。「じいちゃんになにかあって、困るようなことがあったなら、『奉膳様』を頼りなさい」。祖父にそう言い含められていた朔は、広樹に救いを求めるが――
※にはR18描写が入ります。
十七話までは他サイトにて掲載していたものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-11-20 13:34:08
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会話率:40%