比田勝 ノクターン・ムーンライト　更新情報検索

東京での恋に破れた加奈子は旅に出る。選んだ先は何故か対馬。船酔いに耐え辿り着いた北対馬では、加奈子が味わわされた失恋どころではない性の乱れを、噂話を聞かされることになる。

失恋の痛手を癒すため旅に出た加奈子は、一路対馬を目指す。観光パンフレットにあった最北端鰐浦の民宿は予想外の宿だった。気を取り直し北対馬の中心地、比田勝を目指す加奈子の前に、輸送班のトラックが止まる。運転手の工藤は悩みを聞いてくれ、宿を紹介してはくれたが、なんとそこは売春を生業にしていた。

恋に破れ、旅に出た加奈子は、玄界灘の向こうの対馬を目指すが、パンフレットに載っていた民宿は客を客とも思わない扱いをした。 鰐浦を諦め、比田勝に向かう加奈子。来る時と違い自衛隊の定期便は快く乗せてくれた。

　小さな港に到着したフェリーから降りようとすると、カモメが賑やかに出迎えてくれた。　加奈子は伸びをし、大きく深呼吸し、飛び交うカモメに微笑みかけつつタラップを降りた。 　比田勝の港から望む玄界灘はそこから見ても白波を立て荒れ狂っているが、はるか彼方は春霞だろうか、幾分かすんで見える。　天候に恵まれたと表現したほうが良いのだろう、うららかな春の日、初めて訪れた見知らぬ土地で加奈子は冷たい風の中にあって暖かな春の陽射しを感じていた。 春の柔らかな風に誘われるように、加奈子は目的地に向かって歩き出した。　思い切っていつものような街穿きの靴ではなくスポーツシューズにしてよかったと思った。　フェリーを降りた時からして地面は海風の影響からなのか、ひどく荒れていたのである。　おまけに平坦地が極めて少ないように思えた。　折りたたむ>>続きをよむ