戦闘描写ややあり ノクターン・ムーンライト　更新情報検索

「ふざけんなよ、お前」 　苛立った声が、鬱蒼と茂る森の中で響く。周囲は不気味なほど静かで、小鳥の鳴き声さえ聞こえてこない。それが今、異常事態であることを如実に物語っていた。 「守護騎士がビビッて役目を放棄するとか聞いたことないぜ」 守護騎士を選んだのは、皆を守りたいと思ったから。傷つく人を見たくなかった。だから自分が傷つけばいいと安易に考えた。だけど、現実は甘くなかった。傷つく痛み、敵の殺意を間近で浴びるその覚悟ができていなかった。 そんな怖がりの守護騎士が、不愛想な癒し手と一つの約束を交わす。 「どんなに傷ついても、俺が治す。お前が受けた苦しみは、全部治療する。…………お前が抱く恐怖も、癒すから。だから俺達を守ってくれ、守護騎士」 後の世の吟遊詩人たちに語られる、イナン・イナンドゥルの『役立たずの守護騎士』の成長と恋の物語。 ※医療行為や戦闘描写がありますが、知識が曖昧の為お目をつぶって頂けるとありがたいです。 ※描写についての注意書きは前書きにありますので、それを読まれてからお進みください。折りたたむ>>続きをよむ